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‘不正競争防止法 (法不)’ の逐条表示


秘密保持命令
十条  裁判所は、不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟において、その当事者が保有する営業秘密について、次に掲げる事由のいずれにも該当することにつき疎明があった場合には、当事者の申立てにより、決定で、当事者等、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該営業秘密を当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用し、又は当該営業秘密に係るこの項の規定による命令を受けた者以外の者に開示してはならない旨を命ずることができる。ただし、その申立ての時までに当事者等、訴訟代理人又は補佐人が第一号に規定する準備書面の閲読又は同号に規定する証拠の取調べ若しくは開示以外の方法により当該営業秘密を取得し、又は保有していた場合は、この限りでない。
 
既に提出され若しくは提出されるべき準備書面に当事者の保有する営業秘密が記載され、又は既に取り調べられ若しくは取り調べられるべき証拠七条第三項の規定により開示された書類又は十三条第四項の規定により開示された書面を含む。)の内容に当事者の保有する営業秘密が含まれること。
二  前号営業秘密が当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用され、又は当該営業秘密が開示されることにより、当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に支障を生ずるおそれがあり、これを防止するため当該営業秘密使用又は開示を制限する必要があること。
2  前項の規定による命令(以下「秘密保持命令」という。)申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
 
秘密保持命令を受けるべき者
 
秘密保持命令の対象となるべき営業秘密を特定するに足りる事実
三  前項各号に掲げる事由に該当する事実
 
秘密保持命令が発せられた場合には、その決定書を秘密保持命令を受けた者に送達しなければならない。
 
秘密保持命令は、秘密保持命令を受けた者に対する決定書の送達がされた時から、効力を生ずる。
 
秘密保持命令申立てを却下全文





秘密保持命令の取消し)
十一条  秘密保持命令申立てをした者又は秘密保持命令を受けた者は、訴訟記録の存する裁判所(訴訟記録の存する裁判所がない場合にあっては、秘密保持命令を発した裁判所に対し、前条第一項に規定する要件を欠くこと又はこれを欠くに至ったことを理由として、秘密保持命令の取消しの申立てをすることができる。
 
秘密保持命令の取消しの申立てについての裁判があった場合には、その決定書をその申立てをした者及び相手方に送達しなければならない。
 
秘密保持命令の取消しの申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
 
秘密保持命令を取り消す裁判は、確定しなければその効力を生じない。
 
裁判所は、秘密保持命令を取り消す裁判をした場合において、秘密保持命令の取消しの申立てをした者又は相手方以外に当該秘密保持命令が発せられた訴訟において当該営業秘密に係る秘密保持命令を受けている者があるときは、その者に対し、直ちに、秘密保持命令を取り消す裁判をした旨を通知しなければならない。全文





(訴訟記録の閲覧等の請求の通知等)
十二条  秘密保持命令が発せられた訴訟(すべての秘密保持命令が取り消された訴訟を除く。)に係る訴訟記録につき、民事訴訟法 (平成八年法律第百九号九十二条第一項 の決定があった場合において、当事者から同項 に規定する秘密記載部分の閲覧等の請求があり、かつ、その請求手続を行った者が当該訴訟において秘密保持命令を受けていない者であるときは、裁判所書記官は、同項申立てをした当事者(その請求をした者を除く。第三項において同じ。)に対し、その請求後直ちに、その請求があった旨を通知しなければならない。
2  前項の場合において、裁判所書記官は、同項請求があった日から二週間を経過する日までの間(その請求手続を行った者に対する秘密保持命令申立てがその日までにされた場合にあっては、その申立てについての裁判が確定するまでの間)、その請求手続を行った者に同項秘密記載部
分の閲覧等をさせてはならない。
 
前二項の規定は、第一項請求をした者に同項秘密記載部分の閲覧等をさせることについて民事訴訟法九十二条第一項申立てをした当事者のすべての同意があるときは、適用しない。全文





(当事者尋問等の公開停止)
十三条  不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟における当事者等が、その侵害の有無についての判断の基礎となる事項であって当事者の保有する営業秘密に該当するものについて、当事者本人若しくは法定代理人又は証人として尋問を受ける場合においては、裁判所は、裁判官の全員一致により、その当事者等が公開の法廷で当該事項について陳述をすることにより当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に著しい支障を生ずることが明らかであることから当該事項について十分な陳述をすることができず、かつ、当該陳述を欠くことにより他の証拠のみによっては当該事項を判断の基礎とすべき不正競争による営業上の利益の侵害の有無についての適正な裁判をすることができないと認めるときは、決定で、当該事項の尋問を公開しないで行うことができる。
 
裁判所は、前項決定をするに当たっては、あらかじめ、当事者等の意見を聴かなければならない。
 
裁判所は、前項の場合において、必要があると認めるときは、当事者等にその陳述すべき事項の要領を記載した書面の提示をさせることができる。この場合においては、何人も、その提示された書面の開示を求めることができない。
 
裁判所は、前項後段の書面を開示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該書面を開示することができる。
 
裁判所は、第一項の規定により当該事項の尋問を公開しないで行うときは、公衆を退廷させる前に、その旨を理由とともに言い渡さなければならない。当該事項の尋問が終了したときは、再び公衆を入廷させなければならない。全文





(信用回復の措置)
十四条  故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の信用を害した者に対しては、裁判所は、その営業上の信用を害された者の請求により、損害の賠償に代え、又は損害の賠償とともに、その者の営業上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることができる。
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消滅時効)
十五条  二条第一項第四号から第九号までに掲げる不正競争のうち、営業秘密使用する行為に対する三条第一項の規定による侵害の停止又は予防を請求する権利は、その行為を行う者がその行為を継続する場合において、その行為により営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある保有者がその事実及びその行為を行う者を知った時から三年間行わないときは、時効によって消滅する。その行為の開始の時から十年を経過したときも、同様とする。
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(外国の国旗等の商業上の使用禁止)
十六条  何人も、外国の国旗若しくは国の紋章その他の記章であって経済産業省令で定めるもの(以下「外国国旗等」という。)と同一若しくは類似のもの(以下「外国国旗等類似記章」という。)を商標として使用し、又は外国国旗等類似記章を商標として使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは外国国旗等類似記章を商標として使用して役務を提供してはならない。ただし、その外国国旗等の使用の許可(許可に類する行政処分を含む。以下同じ。)を行う権限を有する外国の官庁の許可を受けたときは、この限りでない。
2  前項に規定するもののほか、何人も、商品の原産地を誤認させるような方法で、同項の経済産業省令で定める外国の国の紋章(以下「外国紋章」という。)を使用し、又は外国紋章を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは外国紋章を使用して役務を提供してはならない。ただし、その外国紋章の使用の許可を行う権限を有する外国の官庁の許可を受けたときは、この限りでない。
 
何人も、外国の政府若しくは地方公共団体の監督用若しくは証明用の印章若しくは記号であって経済産業省令で定めるもの(以下「外国政府等記号」という。)と同一若しくは類似のもの(以下「外国政府等類似記号」という。)をその外国政府等記号が用いられている商品若しくは役務と同一若しくは類似の商品若しくは役務の商標として使用し、又は外国政府等類似記号を当該商標として使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは外国政府等類似記号を当該商標として使用して役務を提供してはならない。ただし、その外国政府等記号全文





(国際機関の標章の商業上の使用禁止)
十七条  何人も、その国際機関(政府間の国際機関及びこれに準ずるものとして経済産業省令で定める国際機関をいう。以下この条において同じ。)と関係があると誤認させるような方法で、国際機関を表示する標章であって経済産業省令で定めるものと同一若しくは類似のもの(以下「国際機関類似標章」という。)商標として使用し、又は国際機関類似標章を商標として使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは国際機関類似標章を商標として使用して役務を提供してはならない。ただし、この国際機関の許可を受けたときは、この限りでない。
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(外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止)
十八条  何人も、外国公務員等に対し、国際的な商取引に関して営業上の不正の利益を得るために、その外国公務員等に、その職務に関する行為をさせ若しくはさせないこと、又はその地位を利用して他の外国公務員等にその職務に関する行為をさせ若しくはさせないようにあっせんをさせることを目的として、金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をしてはならない。
2  前項において「外国公務員等」とは、次に掲げる者をいう。
 外国の政府又は地方公共団体の公務に従事する者
 
公共の利益に関する特定の事務を行うために外国の特別の法令により設立されたものの事務に従事する者
 
一又は二以上の外国の政府又は地方公共団体により、発行済株式のうち議決権のある株式の総数若しくは出資の金額の総額の百分の五十を超える当該株式の数若しくは出資の金額を直接に所有され、又は役員(取締役、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で事業の経営に従事しているものをいう。)の過半数を任命され若しくは指名されている事業者であって、その事業の遂行に当たり、外国の政府又は地方公共団体から特に権益を付与されているものの事務に従事する者その他これに準ずる者として政令で定める者
 
国際機関(政府又は政府間の国際機関によって構成される国際機関をいう。次号において同じ。)の公務に従事する者
 
外国の政府若しくは地方公共団体又は国際機関の権限に属する事務であって、これらの機関から委任されたものに従事する者
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(適用除外等)
十九条  三条から十五条まで、二十一条(第二項第六号に係る部分を除く。)及び二十二条の規定は、次の各号に掲げる不正競争の区分に応じて当該各号に定める行為については、適用しない。
一  二条第一項第一号第二号第十三号及び第十五号に掲げる不正競争 商品若しくは営業の普通名称(ぶどうを原料又は材料とする物の原産地の名称であって、普通名称となったものを除く。)若しくは同一若しくは類似の商品若しくは営業について慣用されている商品等表示(以下「普通名称等」と総称する。)を普通に用いられる方法で使用し、若しくは表示をし、又は普通名称等を普通に用いられる方法で使用し、若しくは表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為同項第十三号及び第十五号に掲げる不正競争の場合にあっては、普通名称等を普通に用いられる方法で表示をし、又は使用して役務を提供する行為を含む。)
二  二条第一項第一号第二号及び第十五号に掲げる不正競争 自己の氏名を不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)でなく使用し、又は自己の氏名を不正の目的でなく使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為同号に掲げる不正競争の場合にあっては、自己の氏名を不正の目的でなく使用して役務を提供する行為を含む。)
三  二条第一項第一号に掲げる不正競争 他人の商品等表示が需要者の間に広く認識される前からその商品等表示と同一若しくは類似の商品等表示を使用する者又はその商品等表示に係る業務を承継した者がその商品等表示を不正の目的でなく使用し、又はその商品等表示を不正の目的でなく使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
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