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実用新案法

実用新案法

第一章総則
(第一条―第二条の五)
第二章実用新案登録及び実用新案登録出願
(第三条―第十一条)
第三章実用新案技術評価
(第十二条・第十三条)
第四章実用新案権第一節実用新案権
(第十四条―第二十六条)
第二節権利侵害
(第二十七条―第三十条)
第三節登録料
(第三十一条―第三十六条)
第五章審判
(第三十七条―第四十一条)
第六章再審及び訴訟
(第四十二条―第四十八条の二)
第七章特許協力条約に基づく国際出願に係る特例
(第四十八条の三―第四十八条の十六)
第八章雑則
(第四十九条―第五十五条)
第九章罰則
(第五十六条―第六十四条)
 

第一章 総則

 

(目的)
 

第一条  この法律は、物品の形状、構造又は組合せに係る考案の保護及び利用を図ることにより、その考案を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。

 

(定義)
 

第二条  この法律で「考案」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作をいう。
2 この法律で「登録実用新案」とは、実用新案登録を受けている考案をいう。
3 この法律で考案について「実施」とは、考案に係る物品を製造し、使用し、譲渡し、貸し渡し、輸出し、若しくは輸入し、又はその譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。以下同じ。)をする行為をいう。

 

 

第二条の二  実用新案登録出願請求その他実用新案登録に関する手続(以下単に「手続」という。)をした者は、事件が特許庁に係属している場合に限り、その補正をすることができる。ただし、経済産業省令で定める期間を経過した後は、願書に添付した明細書実用新案登録請求の範囲、図面若しくは要約書又は八条四項若しくは十一条一項において準用する特許法(昭和三十四年法律第百二十一号四十三条一項(十一条一項において準用する同法四十三条の二二項(十一条一項において準用する同法四十三条の三三項において準用する場合を含む。)及び四十三条の三三項において準用する場合を含む。)に規定する書面について補正をすることができない。
2 前項本文の規定により明細書実用新案登録請求の範囲又は図面について補正をするときは、願書に最初に添付した明細書実用新案登録請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしなければならない。
3 第一項の規定にかかわらず、十四条の二一項の訂正に係る訂正書に添付した訂正した明細書実用新案登録請求の範囲又は図面については、その補正をすることができない。
4 特許庁長官は、次に掲げる場合は、相当の期間を指定して、手続の補正をすべきことを命ずることができる。
一 手続二条の五二項において準用する特許法七条一項から第三項まで又はの規定に違反しているとき。
二 手続がこの法律又はこの法律に基づく命令で定める方式に違反しているとき。
三 手続について三十二条一項の規定により納付すべき登録料を納付しないとき。
四 手続について五十四条一項又は第二項の規定により納付すべき手数料を納付しないとき。
5 手続の補正登録料及び手数料の納付を除く。)をするには、手続補正書を提出しなければならない。

 

手続却下
 

第二条の三  特許庁長官は、前条第四項、六条の又は十四条のの規定により手続の補正をすべきことを命じた者がこれらの規定により指定した期間内にその補正をしないときは、その手続却下することができる。

 

(法人でない社団等の手続をする能力)
 

第二条の四  法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において次に掲げる手続をすることができる。
一 十二条一項に規定する実用新案技術評価の請求をすること。
二 審判請求すること。
三 審判の確定審決に対する再審を請求すること。
2 法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において審判の確定審決に対する再審を請求されることができる。

 

特許法の準用)
 

第二条の五  特許法三条及びの規定は、この法律に規定する期間及び期日に準用する。
2 特許法からまで、十一から十六まで及び十八条のから二十四までの規定は、手続に準用する。
3 特許法二十五の規定は、実用新案権その他実用新案登録に関する権利に準用する。
4 特許法二十六の規定は、実用新案登録に準用する。

 

 

実用新案登録の要件)
 

第三条  産業上利用することができる考案であつて物品の形状、構造又は組合せに係るものをした者は、次に掲げる考案を除き、その考案について実用新案登録を受けることができる。
一 実用新案登録出願前に日本国内又は外国において公然知られた考案
二 実用新案登録出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた考案
三 実用新案登録出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された考案又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた考案
2 実用新案登録出願前にその考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者が前項各号に掲げる考案に基いてきわめて容易に考案をすることができたときは、その考案については、同項の規定にかかわらず、実用新案登録を受けることができない。


  

第三条の二  実用新案登録出願に係る考案が当該実用新案登録出願の日前の他の実用新案登録出願又は特許出願であつて当該実用新案登録出願後に十四条三項の規定により同項各号に掲げる事項を掲載した実用新案公報(以下「実用新案掲載公報」という。)の発行又は特許法六十六条三項の規定により同項各号に掲げる事項を掲載した特許公報の発行若しくは出願公開がされたものの願書に最初に添付した明細書実用新案登録請求の範囲若しくは特許請求の範囲又は図面(同法三十六条の二二項の外国語書面出願にあつては、同条第一項の外国語書面)に記載された考案又は発明(その考案又は発明をした者が当該実用新案登録出願に係る考案の考案者と同一の者である場合におけるその考案又は発明を除く。)と同一であるときは、その考案については、前条第一項の規定にかかわらず、実用新案登録を受けることができない。ただし、当該実用新案登録出願の時にその出願人と当該他の実用新案登録出願又は特許出願出願人とが同一の者であるときは、この限りでない。

 

実用新案登録を受けることができない考案)
 

第四条  公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある考案については、三条一項の規定にかかわらず、実用新案登録を受けることができない。

 

 

第四条の二  実用新案登録を受ける権利を有する者は、その実用新案登録を受ける権利に基づいて取得すべき実用新案権について、その実用新案登録出願願書に最初に添付した明細書実用新案登録請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において、他人に仮通常実施権を許諾することができる。
2 前項の規定による仮通常実施権に係る実用新案登録出願について実用新案権設定登録があつたときは、当該仮通常実施権を有する者に対し、その実用新案権について、当該仮通常実施権設定行為で定めた範囲内において、通常実施権が許諾されたものとみなす。
3 特許法三十三条二項及び第三項、三十四条の三四項から第六項まで及び第八項から第十項まで並びに三十四条のの規定は、仮通常実施権に準用する。この場合において、同法三十四条の三八項中「実用新案法四条の二一項の規定による仮通常実施権に係る実用新案登録出願について、四十六条一項」とあるのは「第一項又は前条第四項の規定による仮通常実施権に係る特許出願について、実用新案法十条一項」と、同条第九項中「四十六条二項」とあるのは「実用新案法十条二項」と読み替えるものとする。

 

 

第五条  実用新案登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書特許庁長官に提出しなければならない。
一 実用新案登録出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
二 考案者の氏名及び住所又は居所
2 願書には、明細書実用新案登録請求の範囲、図面及び要約書を添付しなければならない。
3 前項明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 考案の名称
二 図面の簡単な説明
三 考案の詳細な説明
4 前項第三号の考案の詳細な説明は、経済産業省令で定めるところにより、その考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に、記載しなければならない。
5 第二項実用新案登録請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに実用新案登録出願人実用新案登録を受けようとする考案を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。この場合において、一の請求項に係る考案と他の請求項に係る考案とが同一である記載となることを妨げない。
6 第二項実用新案登録請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 実用新案登録を受けようとする考案が考案の詳細な説明に記載したものであること。
二 実用新案登録を受けようとする考案が明確であること。
三 請求項ごとの記載が簡潔であること。
四 その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。
7 第二項の要約書には、明細書実用新案登録請求の範囲又は図面に記載した考案の概要その他経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。


  

第六条  二以上の考案については、経済産業省令で定める技術的関係を有することにより考案の単一性の要件を満たす一群の考案に該当するときは、一の願書実用新案登録出願をすることができる。

 

 

第六条の二  特許庁長官は、実用新案登録出願が次の各号の一に該当するときは、相当の期間を指定して、願書に添付した明細書実用新案登録請求の範囲又は図面について補正をすべきことを命ずることができる。
一 その実用新案登録出願に係る考案が物品の形状、構造又は組合せに係るものでないとき。
二 その実用新案登録出願に係る考案がの規定により実用新案登録をすることができないものであるとき。
三 その実用新案登録出願五条六項第四号又は前条に規定する要件を満たしていないとき。
四 その実用新案登録出願願書に添付した明細書実用新案登録請求の範囲若しくは図面に必要な事項が記載されておらず、又はその記載が著しく不明確であるとき。

 

(先願)
 

第七条  同一の考案について異なつた日に二以上の実用新案登録出願があつたときは、最先の実用新案登録出願人のみがその考案について実用新案登録を受けることができる。
2 同一の考案について同日に二以上の実用新案登録出願があつたときは、いずれも、その考案について実用新案登録を受けることができない。
3 実用新案登録出願に係る考案と特許出願に係る発明とが同一である場合において、その実用新案登録出願及び特許出願が異なつた日にされたものであるときは、実用新案登録出願人は、特許出願人より先に出願をした場合にのみその考案について実用新案登録を受けることができる。
4 実用新案登録出願又は特許出願が放棄され、取り下げられ、又は却下されたときは、その実用新案登録出願又は特許出願は、前三項の規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。
5 特許出願について拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、その特許出願は、第三項の規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。ただし、その特許出願について特許法三十九条二項後段の規定に該当することにより拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、この限りでない。
6 特許法三十九条四項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、実用新案登録出願人は、その考案について実用新案登録を受けることができない。

 

実用新案登録出願等に基づく優先権主張)
 

第八条  実用新案登録を受けようとする者は、次に掲げる場合を除き、その実用新案登録出願に係る考案について、その者が実用新案登録又は特許を受ける権利を有する実用新案登録出願又は特許出願であつて先にされたもの(以下「先の出願」という。)願書に最初に添付した明細書実用新案登録請求の範囲若しくは特許請求の範囲又は図面(先の出願特許法三十六条の二二項の外国語書面出願である場合にあつては、同条第一項の外国語書面)に記載された考案に基づいて優先権を主張することができる。ただし、先の出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その実用新案登録出願の際に、その承諾を得ている場合に限る。
一 その実用新案登録出願が先の出願の日から一年以内にされたものでない場合(その実用新案登録出願を先の出願の日から一年以内にすることができなかつたことについて正当な理由がある場合であつて、かつ、その実用新案登録出願が経済産業省令で定める期間内にされたものである場合を除く。)
二 先の出願十一条一項において準用する特許法四十四条一項の規定による実用新案登録出願の分割に係る新たな実用新案登録出願若しくは十条一項若しくは第二項の規定による出願変更に係る実用新案登録出願又は同法四十四条一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、同法四十六条一項若しくは第二項の規定による出願変更に係る特許出願若しくは同法四十六条の二一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願である場合
三 先の出願が、その実用新案登録出願の際に、放棄され、取り下げられ、又は却下されている場合
四 先の出願について、その実用新案登録出願の際に、査定又は審決が確定している場合
五 先の出願について、その実用新案登録出願の際に、十四条二項に規定する設定登録がされている場合
2 前項の規定による優先権の主張を伴う実用新案登録出願に係る考案のうち、当該優先権の主張の基礎とされた先の出願願書に最初に添付した明細書実用新案登録請求の範囲若しくは特許請求の範囲又は図面(当該先の出願特許法三十六条の二二項の外国語書面出願である場合にあつては、同条第一項の外国語書面)に記載された考案(当該先の出願前項若しくは同法四十一条一項の規定による優先権の主張又は同法四十三条一項、四十三条の二一項(同法四十三条の三三項において準用する場合を含む。)若しくは四十三条の三一項若しくは第二項(これらの規定を十一条一項において準用する場合を含む。)の規定による優先権の主張を伴う出願である場合には、当該先の出願についての優先権の主張の基礎とされた出願に係る出願の際の書類明細書実用新案登録請求の範囲若しくは特許請求の範囲又は図面に相当するものに限る。)に記載された考案を除く。)についての三条の本文、前条第一項から第三項まで、十一条一項において準用する同法三十条一項及び第二項十七又は二十六において準用する同法六十九条二項第二号、同法七十九、同法八十一及び同法八十二条一項並びに同法三十九条三項及び第四項並びに七十二意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号二十六三十一条二項及び三十二条二項並びに商標法(昭和三十四年法律第百二十七号二十九並びに三十三の二条三項及び三十三の三条三項(これらの規定を同法六十八条三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、当該実用新案登録出願は、当該先の出願の時にされたものとみなす。
3 第一項の規定による優先権の主張を伴う実用新案登録出願願書に最初に添付した明細書実用新案登録請求の範囲又は図面に記載された考案のうち、当該優先権の主張の基礎とされた先の出願願書に最初に添付した明細書実用新案登録請求の範囲若しくは特許請求の範囲又は図面(当該先の出願特許法三十六条の二二項の外国語書面出願である場合にあつては、同条第一項の外国語書面)に記載された考案(当該先の出願第一項若しくは同法四十一条一項の規定による優先権の主張又は同法四十三条一項、四十三条の二一項(同法四十三条の三三項において準用する場合を含む。)若しくは四十三条の三一項若しくは第二項(これらの規定を十一条一項において準用する場合を含む。)の規定による優先権の主張を伴う出願である場合には、当該先の出願についての優先権の主張の基礎とされた出願に係る出願の際の書類明細書実用新案登録請求の範囲若しくは特許請求の範囲又は図面に相当するものに限る。)に記載された考案を除く。)については、当該実用新案登録出願について実用新案掲載公報の発行がされた時に当該先の出願について実用新案掲載公報の発行又は出願公開がされたものとみなして、三条の本文又は同法二十九条の本文の規定を適用する。
4 第一項の規定による優先権を主張しようとする者は、その旨及び先の出願の表示を記載した書面を経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出しなければならない。

 

(先の出願の取下げ等)
 

第九条  前条第一項の規定による優先権の主張の基礎とされた先の出願は、その出願の日から経済産業省令で定める期間を経過した時に取り下げたものとみなす。ただし、当該先の出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されている場合、当該先の出願について査定若しくは審決が確定している場合、当該先の出願について十四条二項に規定する設定登録がされている場合又は当該先の出願に基づく全ての優先権の主張が取り下げられている場合には、この限りでない。
2 前条第一項の規定による優先権の主張を伴う実用新案登録出願出願人は、先の出願の日から経済産業省令で定める期間を経過した後は、その主張を取り下げることができない。
3 前条第一項の規定による優先権の主張を伴う実用新案登録出願が先の出願の日から経済産業省令で定める期間内に取り下げられたときは、同時に当該優先権の主張が取り下げられたものとみなす。

 

出願変更
 

第十条  特許出願人は、その特許出願特許法四十六条の二一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願(同法四十四条二項(同法四十六条六項において準用する場合を含む。)の規定により当該特許出願の時にしたものとみなされるものを含む。)を除く。)実用新案登録出願変更することができる。ただし、その特許出願について拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月を経過した後又はその特許出願の日から九年六月を経過した後は、この限りでない。
2 意匠登録出願人は、その意匠登録出願意匠法十三条六項において準用する同法十条の二二項の規定により特許法四十六条の二一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願の時にしたものとみなされる意匠登録出願意匠法十条の二二項の規定により当該意匠登録出願の時にしたものとみなされるものを含む。)を除く。)実用新案登録出願変更することができる。ただし、その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月を経過した後又はその意匠登録出願の日から九年六月を経過した後は、この限りでない。
3 前二項の規定による出願変更があつたときは、その実用新案登録出願は、その特許出願又は意匠登録出願の時にしたものとみなす。ただし、その実用新案登録出願三条のに規定する他の実用新案登録出願又は特許法二十九条のに規定する実用新案登録出願に該当する場合におけるこれらの規定の適用及び次条第一項において準用する同法三十条三項の規定の適用については、この限りでない。
4 第一項又は第二項の規定による出願変更をする場合における次条第一項において準用する特許法四十三条二項(次条第一項において準用する同法四十三条の二二項(次条第一項において準用する同法四十三条の三三項において準用する場合を含む。)及び四十三条の三三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、同法四十三条二項中「最先の日から一年四月以内」とあるのは、「最先の日から一年四月又は実用新案法十条一項若しくは第二項の規定による出願変更に係る実用新案登録出願の日から三月のいずれか遅い日まで」とする。
5 第一項又は第二項の規定による出願変更があつたときは、その特許出願又は意匠登録出願は、取り下げたものとみなす。
6 第一項ただし書に規定する三月の期間は、特許法の規定により同法百二十一条一項に規定する期間延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。
7 第二項ただし書に規定する三月の期間は、意匠法六十八条一項において準用する特許法の規定により意匠法四十六条一項に規定する期間延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。
8 第一項に規定する出願変更をする場合には、もとの特許出願について提出された書面又は書類であつて、新たな実用新案登録出願について八条四項又は次条第一項において準用する特許法三十条三項若しくは四十三条一項及び第二項(これらの規定を次条第一項において準用する同法四十三条の(次条第一項において準用する同法四十三条の三三項において準用する場合を含む。)及び四十三条の三三項において準用する場合を含む。)の規定により提出しなければならないものは、当該新たな実用新案登録出願と同時に特許庁長官に提出されたものとみなす。
9 特許出願人は、その特許出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その承諾を得た場合に限り、第一項の規定による出願変更をすることができる。
10 第八項の規定は、第二項の規定による出願変更の場合に準用する。

 

特許法の準用)
 

第十一条  特許法三十発明の新規性の喪失の例外)、三十八(共同出願)、四十三から四十四まで(パリ条約による優先権主張の手続等及び特許出願の分割)の規定は、実用新案登録出願に準用する。
2 特許法三十三並びに三十四条一項、第二項及び第四項から第七項まで(特許を受ける権利)の規定は、実用新案登録を受ける権利に準用する。
3 特許法三十五仮専用実施権に係る部分を除く。)(職務発明の規定は、従業者、法人の役員又は国家公務員若しくは地方公務員がした考案に準用する。

 

第三章 実用新案技術評価

 

実用新案技術評価の請求
 

第十二条  実用新案登録出願又は実用新案登録については、何人も、特許庁長官に、その実用新案登録出願に係る考案又は登録実用新案に関する技術的な評価であつて、三条一項第三号及び第二項(同号に掲げる考案に係るものに限る。)、三条の並びに七条一項から第三項まで及び第六項の規定に係るもの(以下「実用新案技術評価」という。)請求することができる。この場合において、二以上の請求項に係る実用新案登録出願又は実用新案登録については、請求項ごとに請求することができる。
2 前項の規定による請求は、実用新案権消滅後においても、することができる。ただし、実用新案登録無効審判により無効にされた後は、この限りでない。
3 前二項の規定にかかわらず、第一項の規定による請求は、その実用新案登録に基づいて特許法四十六条の二一項の規定による特許出願がされた後は、することができない。
4 特許庁長官は、第一項の規定による請求があつたときは、審査官にその請求に係る実用新案技術評価の報告書(以下「実用新案技術評価書」という。)を作成させなければならない。
5 特許法四十七条二項の規定は、実用新案技術評価書の作成に準用する。
6 第一項の規定による請求は、取り下げることができない。
7 実用新案登録出願人又は実用新案権者でない者から第一項の規定による請求があつた後に、その請求に係る実用新案登録実用新案登録出願について同項の規定による請求があつた場合におけるその実用新案登録出願に係る実用新案登録を含む。)に基づいて特許法四十六条の二一項の規定による特許出願がされたときは、その請求は、されなかつたものとみなす。この場合において、特許庁長官は、その旨を請求人に通知しなければならない。


  

第十三条  特許庁長官は、実用新案掲載公報の発行前に実用新案技術評価の請求があつたときは当該実用新案掲載公報の発行の際又はその後遅滞なく、実用新案掲載公報の発行後に実用新案技術評価の請求があつたときはその後遅滞なく、その旨を実用新案公報に掲載しなければならない。
2 特許庁長官は、実用新案登録出願人又は実用新案権者でない者から実用新案技術評価の請求があつたときは、その旨を実用新案登録出願人又は実用新案権者に通知しなければならない。
3 特許庁長官は、実用新案技術評価書の作成がされたときは、その謄本を、請求人実用新案登録出願人又は実用新案権者であるときは請求人に、請求人実用新案登録出願人又は実用新案権者でないときは請求人及び実用新案登録出願人又は実用新案権者に送達しなければならない。

 

第四章 実用新案権

 

第一節 実用新案権

 

 

第十四条  実用新案権は、設定登録により発生する。
2 実用新案登録出願があつたときは、その実用新案登録出願が放棄され、取り下げられ、又は却下された場合を除き、実用新案権設定登録をする。
3 前項登録があつたときは、次に掲げる事項実用新案公報に掲載しなければならない。
一 実用新案権者の氏名又は名称及び住所又は居所
二 実用新案登録出願の番号及び年月日
三 考案者の氏名及び住所又は居所
四 願書に添付した明細書及び実用新案登録請求の範囲に記載した事項並びに図面の内容
五 願書に添付した要約書に記載した事項
六 登録番号及び設定登録の年月日
七 前各号に掲げるもののほか、必要な事項
4 特許法六十四条三項の規定は、前項の規定により同項第五号の要約書に記載した事項実用新案公報に掲載する場合に準用する。

 

明細書実用新案登録請求の範囲又は図面の訂正)
 

第十四条の二  実用新案権者は、次に掲げる場合を除き、願書に添付した明細書実用新案登録請求の範囲又は図面の訂正を一回に限りすることができる。
一 十三条三項の規定による最初の実用新案技術評価書の謄本の送達があつた日から二月を経過したとき。
二 実用新案登録無効審判について、三十九条一項の規定により最初に指定された期間を経過したとき。
2 前項の訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。
二 誤記の訂正
三 明瞭でない記載の釈明
四 他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。
3 第一項の訂正は、願書に添付した明細書実用新案登録請求の範囲又は図面前項第二号に掲げる事項を目的とする訂正の場合にあつては、願書に最初に添付した明細書実用新案登録請求の範囲又は図面)に記載した事項の範囲内においてしなければならない。
4 第一項の訂正は、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものであつてはならない。
5 特許法の規定は、第一項第一号に規定する期間に準用する。
6 第一項の訂正をする者がその責めに帰することができない理由により同項第一号に規定する期間を経過するまでにその訂正をすることができないときは、同号の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその訂正をすることができる。
7 実用新案権者は、第一項の訂正をする場合のほか、請求項の削除を目的とするものに限り、願書に添付した明細書実用新案登録請求の範囲又は図面の訂正をすることができる。ただし、実用新案登録無効審判特許庁に係属している場合において四十一において準用する特許法百五十六条一項の規定による通知があつた後同条第三項の規定による審理の再開がされた場合にあつては、その後更に同条第一項の規定による通知があつた後)は、願書に添付した明細書実用新案登録請求の範囲又は図面の訂正をすることができない。
8 第一項及び前項の訂正は、実用新案権消滅後においても、することができる。ただし、実用新案登録無効審判により無効にされた後は、この限りでない。
9 第一項又は第七項の訂正をするには、訂正書を提出しなければならない。
10 第一項の訂正をするときは、訂正書に訂正した明細書実用新案登録請求の範囲又は図面を添付しなければならない。
11 第一項又は第七項の訂正があつたときは、その訂正後における明細書実用新案登録請求の範囲又は図面により実用新案登録出願及び実用新案権設定登録がされたものとみなす。
12 第一項又は第七項の訂正があつたときは、第一項の訂正にあつては訂正した明細書及び実用新案登録請求の範囲に記載した事項並びに図面の内容を、第七項の訂正にあつてはその旨を、実用新案公報に掲載しなければならない。
13 特許法百二十七及び百三十二条三項の規定は、第一項及び第七項の場合に準用する。

 

(訂正に係る補正命令
 

第十四条の三  特許庁長官は、訂正書前条第一項の訂正に係るものに限る。)の提出があつた場合において、その訂正書に添付した訂正した明細書実用新案登録請求の範囲又は図面の記載が次の各号のいずれかに該当するときは、相当の期間を指定して、その訂正書に添付した訂正した明細書実用新案登録請求の範囲又は図面について補正をすべきことを命ずることができる。
一 その訂正書に添付した訂正した実用新案登録請求の範囲に記載されている事項により特定される考案が物品の形状、構造又は組合せに係るものでないとき。
二 その訂正書に添付した訂正した実用新案登録請求の範囲に記載されている事項により特定される考案がの規定により実用新案登録をすることができないものであるとき。
三 その訂正書に添付した訂正した明細書実用新案登録請求の範囲又は図面の記載が五条六項第四号又はに規定する要件を満たしていないとき。
四 その訂正書に添付した訂正した明細書実用新案登録請求の範囲若しくは図面に必要な事項が記載されておらず、又はその記載が著しく不明確であるとき。

 

 

第十五条  実用新案権存続期間は、実用新案登録出願の日から十年をもつて終了する。

 

実用新案権の効力)
 

第十六条  実用新案権者は、業として登録実用新案実施をする権利を専有する。ただし、その実用新案権について専用実施権設定したときは、専用実施権者がその登録実用新案実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない。

 

(他人の登録実用新案等との関係)
 

第十七条  実用新案権者専用実施権者又は通常実施権者は、その登録実用新案がその実用新案登録出願の日前の出願に係る他人の登録実用新案特許発明若しくは登録意匠若しくはこれに類似する意匠を利用するものであるとき、又はその実用新案権がその実用新案登録出願の日前の出願に係る他人の意匠権若しくは商標権と抵触するときは、業としてその登録実用新案実施をすることができない。

 

実用新案権移転の特例)
 

第十七条の二  実用新案登録三十七条一項第二号に規定する要件に該当するとき(その実用新案登録十一条一項において準用する特許法三十八の規定に違反してされたときに限る。)又は三十七条一項第五号に規定する要件に該当するときは、当該実用新案登録に係る考案について実用新案登録を受ける権利を有する者は、経済産業省令で定めるところにより、その実用新案権者に対し、当該実用新案権移転請求することができる。
2 前項の規定による請求に基づく実用新案権移転登録があつたときは、その実用新案権は、初めから当該登録を受けた者に帰属していたものとみなす。
3 共有に係る実用新案権について第一項の規定による請求に基づきその持分を移転する場合においては、二十六において準用する特許法七十三条一項の規定は、適用しない。

 

 

第十八条  実用新案権者は、その実用新案権について専用実施権設定することができる。
2 専用実施権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録実用新案実施をする権利を専有する。
3 特許法七十七条三項から第五項まで移転等)、九十七条二項(放棄)並びに九十八条一項第二号及び第二項(登録の効果)の規定は、専用実施権に準用する。

 

 

第十九条  実用新案権者は、その実用新案権について他人に通常実施権を許諾することができる。
2 通常実施権者は、この法律の規定により又は設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録実用新案実施をする権利を有する。
3 特許法七十三条一項(共有)、九十七条三項(放棄)及び九十九通常実施権の対抗力)の規定は、通常実施権に準用する。

 

 

第二十条  次の各号のいずれかに該当する者であつて、特許法百二十三条一項特許無効審判(以下この項において単に「特許無効審判」という。)請求登録前に、特許同条第一項各号のいずれかに規定する要件に該当することを知らないで、日本国内において当該発明実施である事業をしているもの又はその事業の準備をしているものは、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許無効にした場合における実用新案権又はその際現に存する専用実施権について通常実施権を有する。
一 実用新案登録に係る考案と特許に係る発明とが同一である場合において、特許無効にした場合における原特許権者
二 特許無効にしてその発明と同一の考案について正当権利者に実用新案登録をした場合における原特許権者
三 前二号に掲げる場合において、特許無効審判請求登録の際現にその無効にした特許に係る特許権についての専用実施権又はその特許権若しくは専用実施権についての通常実施権を有する者
2 当該実用新案権者又は専用実施権者は、前項の規定により通常実施権を有する者から相当の対価を受ける権利を有する。

 

(不実施の場合の通常実施権設定の裁定)
 

第二十一条  登録実用新案実施が継続して三年以上日本国内において適当にされていないときは、その登録実用新案実施をしようとする者は、実用新案権者又は専用実施権者に対し通常実施権の許諾について協議を求めることができる。ただし、その登録実用新案に係る実用新案登録出願の日から四年を経過していないときは、この限りでない。
2 前項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、その登録実用新案実施をしようとする者は、特許庁長官の裁定を請求することができる。
3 特許法八十四から九十一条のまで(裁定の手続等)の規定は、前項の裁定に準用する。

 

(自己の登録実用新案実施をするための通常実施権設定の裁定)
 

第二十二条  実用新案権者又は専用実施権者は、その登録実用新案十七又はに規定する場合に該当するときは、同条の他人に対しその登録実用新案実施をするための通常実施権又は特許権若しくは意匠権についての通常実施権の許諾について協議を求めることができる。
2 前項の協議を求められた十七又はの他人は、その協議を求めた実用新案権者又は専用実施権者に対し、これらの者がその協議により通常実施権又は特許権若しくは意匠権についての通常実施権の許諾を受けて実施をしようとする登録実用新案の範囲内において、通常実施権の許諾について協議を求めることができる。
3 第一項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、実用新案権者又は専用実施権者は、特許庁長官の裁定を請求することができる。
4 第二項の協議が成立せず、又は協議をすることができない場合において、前項の裁定の請求があつたときは、十七又はの他人は、第七項において準用する特許法八十四の規定によりその者が答弁書を提出すべき期間として特許庁長官が指定した期間内に限り、特許庁長官の裁定を請求することができる。
5 特許庁長官は、第三項又は前項の場合において、当該通常実施権設定することが十七又はの他人又は実用新案権者若しくは専用実施権者の利益を不当に害することとなるときは、当該通常実施権設定すべき旨の裁定をすることができない。
6 特許庁長官は、前項に規定する場合のほか、第四項の場合において、第三項の裁定の請求について通常実施権設定すべき旨の裁定をしないときは、当該通常実施権設定すべき旨の裁定をすることができない。
7 特許法八十四八十四条の八十五条一項及び八十六から九十一条のまで(裁定の手続等)の規定は、第三項又は第四項の裁定に準用する。

 

(公共の利益のための通常実施権設定の裁定)
 

第二十三条  登録実用新案実施が公共の利益のため特に必要であるときは、その登録実用新案実施をしようとする者は、実用新案権者又は専用実施権者に対し通常実施権の許諾について協議を求めることができる。
2 前項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、その登録実用新案実施をしようとする者は、経済産業大臣の裁定を請求することができる。
3 特許法八十四八十四条の八十五条一項及び八十六から九十一条のまで(裁定の手続等)の規定は、前項の裁定に準用する。

 

 

第二十四条  通常実施権は、二十一条二項、二十二条三項若しくは第四項若しくは前条第二項特許法九十二条三項又は意匠法三十三条三項の裁定による通常実施権を除き、実施の事業とともにする場合、実用新案権者専用実施権についての通常実施権にあつては、実用新案権者及び専用実施権者の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。
2 通常実施権者は、二十一条二項、二十二条三項若しくは第四項若しくは前条第二項特許法九十二条三項又は意匠法三十三条三項の裁定による通常実施権を除き、実用新案権者専用実施権についての通常実施権にあつては、実用新案権者及び専用実施権者の承諾を得た場合に限り、その通常実施権について質権設定することができる。
3 二十一条二項又は前条第二項の裁定による通常実施権は、実施の事業とともにする場合に限り、移転することができる。
4 二十二条三項特許法九十二条三項又は意匠法三十三条三項の裁定による通常実施権は、その通常実施権者の当該実用新案権特許権又は意匠権実施の事業とともに移転したときはこれらに従つて移転し、その実用新案権特許権又は意匠権実施の事業と分離して移転したとき、又は消滅したときは消滅する。
5 二十二条四項の裁定による通常実施権は、その通常実施権者の当該実用新案権特許権又は意匠権に従つて移転し、その実用新案権特許権又は意匠権消滅したときは消滅する。

 

質権
 

第二十五条  実用新案権専用実施権又は通常実施権を目的として質権設定したときは、質権者は、契約で別段の定をした場合を除き、当該登録実用新案実施をすることができない。
2 特許法九十六(物上代位)の規定は、実用新案権専用実施権又は通常実施権を目的とする質権に準用する。
3 特許法九十八条一項第三号及び第二項(登録の効果)の規定は、実用新案権又は専用実施権を目的とする質権に準用する。

 

特許法の準用)
 

第二十六条  特許法六十九条一項及び第二項、七十から七十一条のまで(特許権の効力が及ばない範囲及び特許発明の技術的範囲)、七十三(共有)、七十六(相続人がない場合の特許権消滅)、七十九(先使用による通常実施権)、七十九条の特許権移転登録前の実施による通常実施権)、八十一八十二意匠権存続期間満了後の通常実施権)、九十七条一項(放棄)並びに九十八条一項第一号及び第二項(登録の効果)の規定は、実用新案権に準用する。

 

第二節 権利侵害

 

(差止請求権)
 

第二十七条  実用新案権者又は専用実施権者は、自己の実用新案権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者(以下「侵害者等」という。)に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 実用新案権者又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(プログラム等特許法二条四項に規定するプログラム等をいう。次条において同じ。)を含む。以下同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。

 

(侵害とみなす行為)
 

第二十八条  次に掲げる行為は、当該実用新案権又は専用実施権を侵害するものとみなす。
一 業として、登録実用新案に係る物品の製造にのみ用いる物の生産、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為
二 登録実用新案に係る物品の製造に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその考案による課題の解決に不可欠なものにつき、その考案が登録実用新案であること及びその物がその考案の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
三 登録実用新案に係る物品を業としての譲渡、貸渡し又は輸出のために所持する行為

 

(損害の額の推定等)
 

第二十九条  実用新案権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の実用新案権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した物品を譲渡したときは、その譲渡した物品の数量(以下この項において「譲渡数量」という。)に、実用新案権者又は専用実施権者がその侵害の行為がなければ販売することができた物品の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、実用新案権者又は専用実施権者実施の能力に応じた額を超えない限度において、実用新案権者又は専用実施権者が受けた損害の額とすることができる。ただし、譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を実用新案権者又は専用実施権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。
2 実用新案権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の実用新案権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、実用新案権者又は専用実施権者が受けた損害の額と推定する。
3 実用新案権者又は専用実施権者は、故意又は過失により自己の実用新案権又は専用実施権を侵害した者に対し、その登録実用新案実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。
4 前項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、実用新案権又は専用実施権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかつたときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。

 

実用新案技術評価書の提示)
 

第二十九条の二  実用新案権者又は専用実施権者は、その登録実用新案に係る実用新案技術評価書を提示して警告をした後でなければ、自己の実用新案権又は専用実施権の侵害者等に対し、その権利を行使することができない。

 

実用新案権者等の責任)
 

第二十九条の三  実用新案権者又は専用実施権者が侵害者等に対しその権利を行使し、又はその警告をした場合において、実用新案登録無効にすべき旨の審決三十七条一項第六号に掲げる理由によるものを除く。)が確定したときは、その者は、その権利の行使又はその警告により相手方に与えた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、実用新案技術評価書の実用新案技術評価(当該実用新案登録出願に係る考案又は登録実用新案三条一項第三号及び第二項(同号に掲げる考案に係るものに限る。)、三条の並びに七条一項から第三項まで及び第六項の規定により実用新案登録をすることができない旨の評価を受けたものを除く。)に基づきその権利を行使し、又はその警告をしたとき、その他相当の注意をもつてその権利を行使し、又はその警告をしたときは、この限りでない。
2 前項の規定は、実用新案登録出願願書に添付した明細書実用新案登録請求の範囲又は図面についてした十四条の二一項又は第七項の訂正により実用新案権設定登録の際における実用新案登録請求の範囲に記載された考案の範囲に含まれないこととなつた考案についてその権利を行使し、又はその警告をした場合に準用する。

 

特許法の準用)
 

第三十条  特許法百四条のから百六まで(具体的態様の明示義務、特許権者等の権利行使の制限、主張の制限、書類の提出等、損害計算のための鑑定、相当な損害額の認定、秘密保持命令秘密保持命令の取消し、訴訟記録の閲覧等の請求の通知等、当事者尋問等の公開停止及び信用回復の措置)の規定は、実用新案権又は専用実施権の侵害に準用する。この場合において、同法百四条の中「次に掲げる決定又は審決が確定した」とあるのは「第一号に掲げる審決が確定した又は第三号に掲げる訂正があつた」と、「当該決定又は審決が確定した」とあるのは「当該審決が確定した又は訂正があつた」と、同条第三号中「訂正をすべき旨の決定又は審決」とあるのは「実用新案法十四条の二一項又は第七項の訂正」と読み替えるものとする。

 

第三節 登録

 

登録料)
 

第三十一条  実用新案権設定登録を受ける者又は実用新案権者は、登録料として、実用新案権設定登録の日から十五に規定する存続期間の満了の日までの各年について、一件ごとに、次の表の上欄に掲げる区分に従い同表の下欄に掲げる金額を納付しなければならない。
各年の区分
金額
第一年から第三年まで
毎年二千百円に一請求項につき百円を加えた額
第四年から第六年まで
毎年六千百円に一請求項につき三百円を加えた額
第七年から第十年まで
毎年一万八千百円に一請求項につき九百円を加えた額
2 前項の規定は、国に属する実用新案権には、適用しない。
3 第一項登録料は、実用新案権が国又は三十二条のの規定若しくは他の法令の規定による登録料の軽減若しくは免除(以下この項において「減免」という。)を受ける者を含む者の共有に係る場合であつて持分の定めがあるときは、第一項の規定にかかわらず、国以外の各共有者ごとに同項に規定する登録料の金額(減免を受ける者にあつては、その減免後の金額)にその持分の割合を乗じて得た額を合算して得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。
4 前項の規定により算定した登録料の金額に十円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
5 第一項登録料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。

 

登録料の納付期限)
 

第三十二条  前条第一項の規定による第一年から第三年までの各年分の登録料は、実用新案登録出願と同時に十条一項若しくは第二項の規定による出願変更又は十一条一項において準用する特許法四十四条一項の規定による出願の分割があつた場合にあつては、その出願変更又は出願の分割と同時に)一時に納付しなければならない。
2 前条第一項の規定による第四年以後の各年分の登録料は、前年以前に納付しなければならない。
3 特許庁長官は、登録料を納付すべき者の請求により、三十日以内を限り、第一項に規定する期間延長することができる。
4 登録料を納付する者がその責めに帰することができない理由により前項の規定により延長された期間内にその登録料を納付することができないときは、第一項及び前項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその登録料を納付することができる。

 

登録料の減免又は猶予)
 

第三十二条の二  特許庁長官は、三十一条一項の規定による第一年から第三年までの各年分の登録料を納付すべき者がその実用新案登録出願に係る考案の考案者又はその相続人である場合において貧困により登録料を納付する資力がないと認めるときは、政令で定めるところにより、登録料を軽減し若しくは免除し、又はその納付を猶予することができる。

 

登録料の追納)
 

第三十三条  実用新案権者は、三十二条二項に規定する期間又は前条の規定による納付の猶予後の期間内に登録料を納付することができないときは、その期間が経過した後であつても、その期間の経過後六月以内にその登録料を追納することができる。
2 前項の規定により登録料を追納する実用新案権者は、三十一条一項の規定により納付すべき登録料のほか、その登録料と同額の割増登録料を納付しなければならない。
3 前項の割増登録料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。
4 実用新案権者第一項の規定により登録料を追納することができる期間内に三十一条一項の規定による第四年以後の各年分の登録料及び第二項の割増登録料を納付しないときは、その実用新案権は、三十二条二項に規定する期間の経過の時にさかのぼつて消滅したものとみなす。
5 実用新案権者第一項の規定により登録料を追納することができる期間内に前条の規定により納付が猶予された登録料及び第二項の割増登録料を納付しないときは、その実用新案権は、初めから存在しなかつたものとみなす。

 

登録料の追納による実用新案権の回復)
 

第三十三条の二  前条第四項の規定により消滅したものとみなされた実用新案権又は同条第五項の規定により初めから存在しなかつたものとみなされた実用新案権の原実用新案権者は、同条第一項の規定により登録料を追納することができる期間内に同条第四項又は第五項に規定する登録料及び割増登録料を納付することができなかつたことについて正当な理由があるときは、その理由がなくなつた日から二月以内でその期間の経過後一年以内に限り、その登録料及び割増登録料を追納することができる。
2 前項の規定による登録料及び割増登録料の追納があつたときは、その実用新案権は、三十二条二項に規定する期間の経過の時にさかのぼつて存続していたもの又は初めから存在していたものとみなす。

 

(回復した実用新案権の効力の制限
 

第三十三条の三  前条第二項の規定により実用新案権が回復したときは、その実用新案権の効力は、三十三条一項の規定により登録料を追納することができる期間の経過後実用新案権の回復の登録前に輸入し、又は日本国内において製造し、若しくは取得した当該登録実用新案に係る物品には、及ばない。
2 前条第二項の規定により回復した実用新案権の効力は、三十三条一項の規定により登録料を追納することができる期間の経過後実用新案権の回復の登録前における次に掲げる行為には、及ばない。
一 当該考案の実施
二 当該登録実用新案に係る物品の製造に用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をした行為
三 当該登録実用新案に係る物品を譲渡、貸渡し又は輸出のために所持した行為

 

(既納の登録料の返還)
 

第三十四条  既納の登録料は、次に掲げるものに限り、納付した者の請求により返還する。
一 過誤納の登録
二 実用新案登録出願却下すべき旨の処分が確定した場合の登録
三 実用新案登録無効にすべき旨の審決が確定した年の翌年以後の各年分の登録
四 実用新案権存続期間の満了の日の属する年の翌年以後の各年分の登録
2 前項の規定による登録料の返還は、同項第一号登録料については納付した日から一年、同項第二号又は第三号登録料についてはそれぞれ処分又は審決が確定した日から六月、同項第四号登録料については実用新案権設定登録があつた日から一年を経過した後は、請求することができない。
3 第一項の規定による登録料の返還を請求する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその請求をすることができる。


  

第三十五条  削除

 

特許法の準用)
 

第三十六条  特許法百十特許料を納付すべき者以外の者による特許料の納付)の規定は、登録料について準用する。

 

第五章 審判

 

 

第三十七条  実用新案登録が次の各号のいずれかに該当するときは、その実用新案登録無効にすることについて実用新案登録無効審判請求することができる。この場合において、二以上の請求項に係るものについては、請求項ごとに請求することができる。
一 その実用新案登録二条の二二項に規定する要件を満たしていない補正をした実用新案登録出願に対してされたとき。
二 その実用新案登録二条の五三項において準用する特許法二十五三条の七条一項から第三項まで若しくは第六項又は十一条一項において準用する同法三十八の規定に違反してされたとき(その実用新案登録十一条一項において準用する同法三十八の規定に違反してされた場合にあつては、十七条の二一項の規定による請求に基づき、その実用新案登録に係る実用新案権移転登録があつたときを除く。)
三 その実用新案登録条約に違反してされたとき。
四 その実用新案登録五条四項又は第六項(第四号を除く。)に規定する要件を満たしていない実用新案登録出願に対してされたとき。
五 その実用新案登録がその考案について実用新案登録を受ける権利を有しない者の実用新案登録出願に対してされたとき十七条の二一項の規定による請求に基づき、その実用新案登録に係る実用新案権移転登録があつたときを除く。)
六 実用新案登録がされた後において、その実用新案権者二条の五三項において準用する特許法二十五の規定により実用新案権を享有することができない者になつたとき、又はその実用新案登録条約に違反することとなつたとき。
七 その実用新案登録願書に添付した明細書実用新案登録請求の範囲又は図面の訂正が十四条の二二項から第四項までの規定に違反してされたとき。
2 実用新案登録無効審判は、何人も請求することができる。ただし、実用新案登録前項第二号に該当すること(その実用新案登録十一条一項において準用する特許法三十八の規定に違反してされたときに限る。)又は前項第五号に該当することを理由とするものは、当該実用新案登録に係る考案について実用新案登録を受ける権利を有する者に限り請求することができる。
3 実用新案登録無効審判は、実用新案権消滅後においても、請求することができる。
4 審判長は、実用新案登録無効審判請求があつたときは、その旨を当該実用新案権についての専用実施権者その他その実用新案登録に関し登録した権利を有する者に通知しなければならない。

 

審判請求の方式)
 

第三十八条  審判請求する者は、次に掲げる事項を記載した請求書特許庁長官に提出しなければならない。
一 当事者及び代理人の氏名又は名称及び住所又は居所
二 審判事件の表示
三 請求の趣旨及びその理由
2 前項第三号に掲げる請求の理由は、実用新案登録無効にする根拠となる事実を具体的に特定し、かつ、立証を要する事実ごとに証拠との関係を記載したものでなければならない。

 

 

第三十八条の二  前条第一項の規定により提出した請求書補正は、その要旨を変更するものであつてはならない。ただし、次項の規定による審判長の許可があつたときは、この限りでない。
2 審判長は、前条第一項第三号に掲げる請求の理由の補正がその要旨を変更するものである場合において、当該補正が審理を不当に遅延させるおそれがないことが明らかなものであり、かつ、次の各号のいずれかに該当する事由があると認めるときは、決定をもつて、当該補正を許可することができる。
一 十四条の二一項の訂正があり、その訂正により請求の理由を補正する必要が生じたこと。
二 前号に掲げるもののほか当該補正に係る請求の理由を審判請求時の請求書に記載しなかつたことにつき合理的な理由があり、被請求人が当該補正に同意したこと。
3 前項補正の許可は、その補正に係る手続補正書が次条第一項の規定による請求書の副本の送達の前に提出されたときは、これをすることができない。
4 第二項決定又はその不作為に対しては、不服を申し立てることができない。

 

(答弁書の提出等)
 

第三十九条  審判長は、審判請求があつたときは、請求書の副本を被請求人に送達し、相当の期間を指定して、答弁書を提出する機会を与えなければならない。
2 審判長は、前条第二項の規定により請求書補正を許可するときは、その補正に係る手続補正書の副本を被請求人に送達し、相当の期間を指定して、答弁書を提出する機会を与えなければならない。ただし、被請求人に答弁書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情があるときは、この限りでない。
3 審判長は、第一項若しくは前項本文の答弁書を受理したとき、又は実用新案登録無効審判特許庁に係属している場合において十四条の二一項若しくは第七項の訂正があつたときは、その副本を請求人に送達しなければならない。
4 審判長は、審判に関し、当事者及び参加人を審尋することができる。
5 審判長は、実用新案登録無効審判請求があつた場合において、その請求後にその実用新案登録に基づいて特許法四十六条の二一項の規定による特許出願がされたときは、その旨を請求人及び参加人に通知しなければならない。

 

審判請求の取下げ)
 

第三十九条の二  審判請求は、審決が確定するまでは、取り下げることができる。
2 審判請求は、前条第一項の答弁書の提出があつた後は、相手方の承諾を得なければ、取り下げることができない。
3 審判請求人前条第五項の規定による通知を受けたときは、前項の規定にかかわらず、その通知を受けた日から三十日以内に限り、その審判請求を取り下げることができる。
4 特許法の規定は、前項に規定する期間に準用する。この場合において、同条中「特許庁長官」とあるのは、「審判長」と読み替えるものとする。
5 審判請求人がその責めに帰することができない理由により第三項に規定する期間内にその請求を取り下げることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその請求を取り下げることができる。
6 二以上の請求項に係る実用新案登録の二以上の請求項について実用新案登録無効審判請求したときは、その請求は、請求項ごとに取り下げることができる。

 

(訴訟との関係)
 

第四十条  審判において必要があると認めるときは、他の審判審決が確定し、又は訴訟手続が完結するまでその手続を中止することができる。
2 訴えの提起又は仮差押命令若しくは仮処分命令申立てがあつた場合において、必要があると認めるときは、裁判所は、審決が確定するまでその訴訟手続を中止することができる。
3 裁判所は、実用新案権又は専用実施権の侵害に関する訴えの提起があつたときは、その旨を特許庁長官に通知するものとする。その訴訟手続が完結したときも、また同様とする。
4 特許庁長官は、前項に規定する通知を受けたときは、その実用新案権についての審判請求の有無を裁判所に通知するものとする。その審判請求書却下決定審決又は請求の取下げがあつたときも、また同様とする。
5 裁判所は、前項の規定によりその実用新案権についての審判請求があつた旨の通知を受けた場合において、当該訴訟において三十において準用する特許法百四条の三一項の規定による攻撃又は防御の方法を記載した書面がその通知前に既に提出され、又はその通知後に最初に提出されたときは、その旨を特許庁長官に通知するものとする。
6 特許庁長官は、前項に規定する通知を受けたときは、裁判所に対し、当該訴訟の訴訟記録のうちその審判において審判官が必要と認める書面の写しの送付を求めることができる。

 

特許法の準用)
 

第四十一条  特許法百二十五百三十二から百三十三条のまで、百三十五から百五十四まで、百五十六条一項、第三項及び第四項、百五十七百六十七百六十七条の百六十九条一項、第二項、第五項及び第六項並びに百七十の規定は、審判に準用する。この場合において、同法百五十六条一項中「特許無効審判以外の審判においては、事件が」とあるのは、「事件が」と読み替えるものとする。

 

第六章 再審及び訴訟

 

(再審の請求
 

第四十二条  確定審決に対しては、当事者又は参加人は、再審を請求することができる。
2 民事訴訟法(平成八年法律第百九号三百三十八条一項及び第二項並びに三百三十九(再審の事由)の規定は、前項の再審の請求に準用する。


  

第四十三条  審判請求人及び被請求人が共謀して第三者の権利又は利益を害する目的をもつて審決をさせたときは、その第三者は、その確定審決に対し再審を請求することができる。
2 前項の再審は、その請求人及び被請求人を共同被請求人として請求しなければならない。

 

(再審により回復した実用新案権の効力の制限
 

第四十四条  無効にした実用新案登録に係る実用新案権が再審により回復したときは、実用新案権の効力は、当該審決が確定した後再審の請求登録前に善意に輸入し、又は日本国内において製造し、若しくは取得した当該登録実用新案に係る物品には、及ばない。
2 無効にした実用新案登録に係る実用新案権が再審により回復したときは、実用新案権の効力は、当該審決が確定した後再審の請求登録前における次に掲げる行為には、及ばない。
一 当該考案の善意の実施
二 善意に、当該登録実用新案に係る物品の製造に用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をした行為
三 善意に、当該登録実用新案に係る物品を譲渡、貸渡し又は輸出のために所持した行為

 

特許法の準用)
 

第四十五条  特許法百七十三(再審の請求期間)、百七十四条三項及び第五項(審判の規定等の準用)並びに百七十六(再審の請求登録前の実施による通常実施権の規定は、再審に準用する。この場合において、同法百七十四条三項中「百三十一条一項、百三十一条の二一項本文」とあるのは「実用新案法三十八条一項、同法三十八条の二一項本文」と、「百三十四条一項、第三項及び第四項」とあるのは「同法三十九条一項、第三項及び第四項」と、「から百六十八まで」とあるのは「、百六十七条の、同法四十」と読み替えるものとする。
2 特許法の規定は、前項において準用する同法百七十三条一項に規定する期間に準用する。


  

第四十六条  削除

 

審決等に対する訴え)
 

第四十七条  審決に対する訴え及び審判又は再審の請求書却下決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。
2 特許法百七十八条二項から第六項まで(出訴期間等)及び百七十九条から百八十二条の二まで(被告適格、出訴の通知等、審決取消訴訟における特許庁長官の意見、審決又は決定の取消し、裁判の正本等の送付及び合議体の構成)の規定は、前項の訴えに準用する。

 

(対価の額についての訴え)
 

第四十八条  二十一条二項、二十二条三項若しくは第四項又は二十三条二項の裁定を受けた者は、その裁定で定める対価の額について不服があるときは、訴えを提起してその額の増減を求めることができる。
2 特許法百八十三条二項(出訴期間及び百八十四(被告適格)の規定は、前項の訴えに準用する。


  

第四十八条の二  削除

 

第七章 特許協力条約に基づく国際出願に係る特例

 

(国際出願による実用新案登録出願
 

第四十八条の三  千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約(以下この章において「条約」という。)十一(1)若しくは(2)(b)又は十四(2)の規定に基づく国際出願日が認められた国際出願であつて、条約(1)(ii)の指定国に日本国を含むもの実用新案登録出願に係るものに限る。)は、その国際出願日にされた実用新案登録出願とみなす。
2 特許法百八十四条の三二項(国際出願による特許出願の規定は、前項の規定により実用新案登録出願とみなされた国際出願(以下「国際実用新案登録出願」という。)に準用する。

 

(外国語でされた国際実用新案登録出願の翻訳文)
 

第四十八条の四  外国語でされた国際実用新案登録出願(以下「外国語実用新案登録出願」という。)出願人は、条約(xi)の優先日(以下「優先日」という。)から二年六月(以下「国内書面提出期間」という。)以内に、前条第一項に規定する国際出願(以下「国際出願日」という。)における条約(2)に規定する明細書請求の範囲、図面(図面の中の説明に限る。以下この条において同じ。)及び要約の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、国内書面提出期間の満了前二月から満了の日までの間に次条第一項に規定する書面を提出した外国語実用新案登録出願(当該書面の提出の日以前に当該翻訳文を提出したものを除く。)にあつては、当該書面の提出の日から二月(以下「翻訳文提出特例期間」という。)以内に、当該翻訳文を提出することができる。
2 前項の場合において、外国語実用新案登録出願出願人条約十九(1)の規定に基づく補正をしたときは、同項に規定する請求の範囲の翻訳文に代えて、当該補正後の請求の範囲の翻訳文を提出することができる。
3 国内書面提出期間第一項ただし書の外国語実用新案登録出願にあつては、翻訳文提出特例期間。以下この条において同じ。)内に第一項に規定する明細書の翻訳文及び前二項に規定する請求の範囲の翻訳文(以下「明細書等翻訳文」という。)の提出がなかつたときは、その国際実用新案登録出願は、取り下げられたものとみなす。
4 前項の規定により取り下げられたものとみなされた国際実用新案登録出願出願人は、国内書面提出期間内に当該明細書等翻訳文を提出することができなかつたことについて正当な理由があるときは、その理由がなくなつた日から二月以内で国内書面提出期間の経過後一年以内に限り、明細書等翻訳文並びに第一項に規定する図面及び要約の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。
5 前項の規定により提出された翻訳文は、国内書面提出期間が満了する時に特許庁長官に提出されたものとみなす。
6 第一項に規定する請求の範囲の翻訳文を提出した出願人は、条約十九(1)の規定に基づく補正をしたときは、国内書面提出期間が満了する時(国内書面提出期間内に出願人条約二十三(2)又は四十(2)の規定による請求(以下「国内処理の請求」という。)をするときは、その国内処理の請求の時。以下「国内処理基準時」という。)の属する日までに限り、当該補正後の請求の範囲の日本語による翻訳文を更に提出することができる。
7 特許法百八十四条の七三項本文の規定は、第二項又は前項に規定する翻訳文が提出されなかつた場合に準用する。

 

(書面の提出及び補正命令等)
 

第四十八条の五  国際実用新案登録出願出願人は、国内書面提出期間内に、次に掲げる事項を記載した書面を特許庁長官に提出しなければならない。
一 出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
二 考案者の氏名及び住所又は居所
三 国際出願番号その他の経済産業省令で定める事項
2 特許庁長官は、次に掲げる場合は、相当の期間を指定して、手続の補正をすべきことを命ずることができる。
一 前項の規定により提出すべき書面を、国内書面提出期間内に提出しないとき。
二 前項の規定による手続二条の五二項において準用する特許法七条一項から第三項まで又はの規定に違反しているとき。
三 前項の規定による手続が経済産業省令で定める方式に違反しているとき。
四 前条第一項の規定により提出すべき要約の翻訳文を、国内書面提出期間前条第一項ただし書の外国語実用新案登録出願にあつては、翻訳文提出特例期間内に提出しないとき。
五 三十二条一項の規定により納付すべき登録料を国内書面提出期間内に納付しないとき。
六 五十四条二項の規定により納付すべき手数料を国内書面提出期間内に納付しないとき。
3 特許法百八十四条の五三項の規定は、前項の規定による命令に基づく補正に準用する。
4 国際実用新案登録出願出願人は、日本語でされた国際実用新案登録出願(以下「日本語実用新案登録出願」という。)にあつては第一項、外国語実用新案登録出願にあつては同項及び前条第一項の規定による手続をし、かつ、三十二条一項の規定により納付すべき登録料及び五十四条二項の規定により納付すべき手数料を納付した後でなければ、国内処理の請求をすることができない。

 

(国際出願に係る願書明細書等の効力等)
 

第四十八条の六  国際実用新案登録出願に係る国際出願日における願書は、五条一項の規定により提出した願書とみなす。
2 日本語実用新案登録出願に係る国際出願日における明細書及び外国語実用新案登録出願に係る国際出願日における明細書の翻訳文は五条二項の規定により願書に添付して提出した明細書と、日本語実用新案登録出願に係る国際出願日における請求の範囲及び外国語実用新案登録出願に係る国際出願日における請求の範囲の翻訳文は同項の規定により願書に添付して提出した実用新案登録請求の範囲と、日本語実用新案登録出願に係る国際出願日における図面並びに外国語実用新案登録出願に係る国際出願日における図面(図面の中の説明を除く。)及び図面の中の説明の翻訳文は同項の規定により願書に添付して提出した図面と、日本語実用新案登録出願に係る要約及び外国語実用新案登録出願に係る要約の翻訳文は同項の規定により願書に添付して提出した要約書とみなす。
3 四十八条の四二項又は第六項の規定により条約十九(1)の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文が提出された場合は、前項の規定にかかわらず、当該補正後の請求の範囲の翻訳文を五条二項の規定により願書に添付して提出した実用新案登録請求の範囲とみなす。

 

(図面の提出)
 

第四十八条の七  国際実用新案登録出願出願人は、国際出願が国際出願日において図面を含んでいないものであるときは、国内処理基準時の属する日までに、図面を特許庁長官に提出しなければならない。
2 特許庁長官は、国内処理基準時の属する日までに前項の規定による図面の提出がないときは、国際実用新案登録出願出願人に対し、相当の期間を指定して、図面の提出をすべきことを命ずることができる。
3 特許庁長官は、前項の規定により図面の提出をすべきことを命じた者が同項の規定により指定した期間内にその提出をしないときは、当該国際実用新案登録出願却下することができる。
4 第一項の規定により又は第二項の規定による命令に基づいてされた図面の提出(図面に添えて当該図面の簡単な説明を提出したときは、当該図面及び当該説明の提出)は、二条の二一項の規定による手続の補正とみなす。この場合において、同項ただし書の規定は、適用しない。

 

補正の特例)
 

第四十八条の八  四十八条の十五一項において準用する特許法百八十四条の七二項及び百八十四条の八二項の規定により二条の二一項の規定によるものとみなされた補正については、同項ただし書の規定は、適用しない。
2 国際実用新案登録出願についてする条約二十八(1)又は四十一(1)の規定に基づく補正については、二条の二一項ただし書の規定は、適用しない。
3 外国語実用新案登録出願に係る明細書実用新案登録請求の範囲又は図面について補正ができる範囲については、二条の二二項中「願書に最初に添付した明細書実用新案登録請求の範囲又は図面」とあるのは、「四十八条の四一項の国際出願日における国際出願明細書請求の範囲又は図面」とする。
4 特許法百八十四条の十二一項の規定は、国際実用新案登録出願についてする二条の二一項本文又は条約二十八(1)若しくは四十一(1)の規定に基づく補正に準用する。この場合において、同法百八十四条の十二一項中「百九十五条二項」とあるのは「実用新案法三十二条一項の規定により納付すべき登録料及び同法五十四条二項」と、「納付した後であつて国内処理基準時を経過した後」とあるのは「納付した後」と読み替えるものとする。

 

実用新案登録要件の特例)
 

第四十八条の九  三条のに規定する他の実用新案登録出願又は特許出願が国際実用新案登録出願又は特許法百八十四条の三二項の国際特許出願である場合における三条のの規定の適用については、同条中「他の実用新案登録出願又は特許出願であつて」とあるのは「他の実用新案登録出願又は特許出願四十八条の四三項又は特許法百八十四条の四三項の規定により取り下げられたものとみなされた四十八条の四一項の外国語実用新案登録出願又は同法百八十四条の四一項の外国語特許出願を除く。)であつて」と、「発行又は」とあるのは「発行、」と、「若しくは出願公開」とあるのは「若しくは出願公開又は千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約二十一に規定する国際公開」と、「願書に最初に添付した明細書実用新案登録請求の範囲若しくは特許請求の範囲又は図面」とあるのは「四十八の四条一項又は同法百八十四条の第一項の国際出願日における国際出願明細書請求の範囲又は図面」とする。

 

実用新案登録出願等に基づく優先権主張の特例)
 

第四十八条の十  国際実用新案登録出願については、第八条一項ただし書及び第四項並びに第九条二項の規定は、適用しない。
2 日本語実用新案登録出願についての八条三項の規定の適用については、同項中「実用新案掲載公報の発行が」とあるのは、「実用新案掲載公報の発行又は千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約二十一に規定する国際公開が」とする。
3 外国語実用新案登録出願についての八条三項の規定の適用については、同項中「実用新案登録出願願書に最初に添付した明細書実用新案登録請求の範囲又は図面」とあるのは「四十八条の四一項の国際出願日における国際出願明細書請求の範囲又は図面」と、「実用新案掲載公報の発行が」とあるのは「実用新案掲載公報の発行又は千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約二十一に規定する国際公開が」とする。
4 八条一項の先の出願が国際実用新案登録出願又は特許法百八十四条の三二項の国際特許出願である場合における八条一項から第三項まで及び九条一項の規定の適用については、八条一項及び第二項中「願書に最初に添付した明細書実用新案登録請求の範囲若しくは特許請求の範囲又は図面」とあるのは「四十八条の四一項又は特許法百八十四条の四一項の国際出願日における国際出願明細書請求の範囲又は図面」と、同条第三項中「先の出願願書に最初に添付した明細書実用新案登録請求の範囲若しくは特許請求の範囲又は図面」とあるのは「先の出願四十八条の四一項又は特許法百八十四条の四一項の国際出願日における国際出願明細書請求の範囲又は図面」と、「出願公開」とあるのは「千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約二十一に規定する国際公開」と、九条一項中「その出願の日から経済産業省令で定める期間を経過した時」とあるのは「四十八の四条六項若しくは特許法百八十四条の第六項の国内処理基準時又は四十八の四条一項若しくは同法百八十四の第一項の国際出願日から経済産業省令で定める期間を経過した時のいずれか遅い時」とする。

 

出願変更の特例)
 

第四十八条の十一  特許法百八十四条の三一項又は百八十四条の第四項の規定により特許出願とみなされた国際出願実用新案登録出願への変更については、同法百八十四条の六二項の日本語特許出願にあつては同法百八十四条の五一項、同法百八十四条の四一項の外国語特許出願にあつては同項又は同条第四項及び同法百八十四条の五一項の規定による手続をし、かつ、同法百九十五条二項の規定により納付すべき手数料を納付した後(同法百八十四条の第四項の規定により特許出願とみなされた国際出願については、同項に規定する決定の後)でなければすることができない。

 

登録料の納付期限の特例)
 

第四十八条の十二  国際実用新案登録出願第一年から第三年までの各年分の登録料の納付については、三十二条一項中「実用新案登録出願と同時」とあるのは、「四十八条の四一項に規定する国内書面提出期間同条第六項に規定する国内処理の請求をした場合にあつては、その国内処理の請求の時まで)」とする。

 

実用新案技術評価の請求の時期の制限
 

第四十八条の十三  国際実用新案登録出願に係る実用新案技術評価の請求については、十二条一項中「何人も」とあるのは、「四十八条の四六項に規定する国内処理基準時を経過した後、何人も」とする。

 

(訂正の特例)
 

第十八条の十三の二 外国語実用新案登録出願に係る十四条の二一項の規定による訂正については、同条第三項中「願書に最初に添付した明細書実用新案登録請求の範囲又は図面」とあるのは、「四十八条の四一項の国際出願日における国際出願明細書請求の範囲又は図面」とする。

 

無効理由の特例)
 

第四十八条の十四  外国語実用新案登録出願に係る実用新案登録無効審判については、三十七条一項第一号中「その実用新案登録二条の二二項に規定する要件を満たしていない補正をした実用新案登録出願に対してされたとき」とあるのは、「四十八条の四一項の外国語実用新案登録出願に係る実用新案登録願書に添付した明細書実用新案登録請求の範囲又は図面に記載した事項同項の国際出願日における国際出願明細書請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にないとき」とする。

 

特許法の準用)
 

第四十八条の十五  特許法百八十四条の(日本語特許出願に係る条約十九に基づく補正及び百八十四条の八一項から第三項まで条約三十四基づく補正の規定は、国際実用新案登録出願条約に基づく補正に準用する。この場合において、同法百八十四条の七二項及び百八十四条の八二項中「十七条の二一項」とあるのは、「実用新案法二条の二一項」と読み替えるものとする。
2 特許法百八十四条十一(在外者の特許管理人の特例)の規定は、国際実用新案登録出願に関する手続に準用する。
3 特許法百八十四条の九六項及び百八十四条十四の規定は、国際実用新案登録出願に準用する。

 

決定により実用新案登録出願とみなされる国際出願
 

第四十八条の十六  条約(vii)の国際出願出願人は、条約(1)(ii)の指定国に日本国を含む国際出願実用新案登録出願に係るものに限る。)につき条約(xv)の受理官庁により条約二十五(1)(a)に規定する拒否若しくは同条(1)(a)若しくは(b)に規定する宣言がされ、又は条約(xix)の国際事務局により条約二十五(1)(a)に規定する認定がされたときは、経済産業省令で定める期間内に、経済産業省令で定めるところにより、特許庁長官同条(2)(a)に規定する決定をすべき旨の申出をすることができる。
2 外国語でされた国際出願につき前項の申出をする者は、申出に際し、明細書請求の範囲、図面(図面の中の説明に限る。)、要約その他の経済産業省令で定める国際出願に関する書類の日本語による翻訳文を特許庁長官に提出しなければならない。
3 特許庁長官は、第一項の申出があつたときは、その申出に係る拒否、宣言又は認定が条約及び特許協力条約に基づく規則の規定に照らして正当であるか否かの決定をしなければならない。
4 前項の規定により特許庁長官同項の拒否、宣言又は認定が条約及び特許協力条約に基づく規則の規定に照らして正当でない旨の決定をしたときは、その決定に係る国際出願は、その国際出願につきその拒否、宣言又は認定がなかつたものとした場合において国際出願日となつたものと認められる日にされた実用新案登録出願とみなす。
5 四十八条の六一項及び第二項、四十八条の四十八条の八三項、四十八条の四十八条の第一項、第三項及び第四項、四十八条の十二十二から四十八条の十四まで並びに特許法百八十四条の三二項、百八十四条の九六項、百八十四条の十二一項及び百八十四条十四の規定は、前項の規定により実用新案登録出願とみなされた国際出願に準用する。この場合において、これらの規定の準用に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。

 

第八章 雑則

 

実用新案原簿への登録
 

第四十九条  次に掲げる事項は、特許庁に備える実用新案原簿に登録する。
一 実用新案権設定移転、信託による変更消滅、回復又は処分の制限
2 実用新案原簿は、その全部又は一部を磁気テープ(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録して置くことができる物を含む。以下同じ。)をもつて調製することができる。
3 この法律に規定するもののほか、登録に関して必要な事項は、政令で定める。

 

実用新案登録証の交付)
 

第五十条  特許庁長官は、実用新案権設定登録十四条の二一項の訂正又は十七条の二一項の規定による請求に基づく実用新案権移転登録があつたときは、実用新案権者に対し、実用新案登録証を交付する。
2 実用新案登録証の再交付については、経済産業省令で定める。

 

(二以上の請求項に係る実用新案登録又は実用新案権についての特則)
 

第五十条の二  二以上の請求項に係る実用新案登録又は実用新案権についての十二条二項、十四条の二八項、二十六において準用する特許法九十七条一項若しくは九十八条一項第一号、三十四条一項第三号、三十七三項、四十一条において準用する同法百二十五四十一において、若しくは四十五条一項において準用する同法百七十四条三項において、それぞれ準用する同法百三十二条一項四十四四十五条一項において準用する同法百七十六四十九条一項第一号又は五十三条二項において準用する同法百九十三条二項第五号の規定の適用については、請求項ごとに実用新案登録がされ、又は実用新案権があるものとみなす。

 

実用新案登録表示)
 

第五十一条  実用新案権者専用実施権者又は通常実施権者は、経済産業省令で定めるところにより、登録実用新案に係る物品又はその物品の包装にその物品が登録実用新案に係る旨の表示(以下「実用新案登録表示」という。)を附するように努めなければならない。

 

(虚偽表示の禁止)
 

第五十二条  何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一 登録実用新案に係る物品以外の物品又はその物品の包装に実用新案登録表示又はこれと紛らわしい表示を附する行為
二 登録実用新案に係る物品以外の物品であつて、その物品又はその物品の包装に実用新案登録表示又はこれと紛らわしい表示を附したものを譲渡し、貸し渡し、又は譲渡若しくは貸渡のために展示する行為
三 登録実用新案に係る物品以外の物品を製造させ若しくは使用させるため、又は譲渡し若しくは貸し渡すため、広告にその物品が登録実用新案に係る旨を表示し、又はこれと紛らわしい表示をする行為

 

実用新案公報)
 

第五十三条  特許庁は、実用新案公報を発行する。
2 特許法百九十三条二項(第五号から第七号まで、第九号及び第十号に係る部分に限る。)の規定は、実用新案公報に準用する。

 

(手数料)
 

第五十四条  次に掲げる者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならない。
一 二条の五一項において準用する特許法五条一項の規定、三十二条三項の規定若しくは十四条の二五項、三十九条の二四項、四十五条二項若しくは次条第五項において準用する同法の規定による期間延長又は二条の五一項において準用する同法五条二項の規定による期日の変更請求する者
二 十一条二項において準用する特許法三十四条四項の規定により承継の届出をする者
三 実用新案登録証の再交付を請求する者
四 五十五条一項において準用する特許法百八十六条一項の規定により証明を請求する者
五 五十五条一項において準用する特許法百八十六条一項の規定により書類の謄本又は抄本の交付を請求する者
六 五十五条一項において準用する特許法百八十六条一項の規定により書類の閲覧又は謄写を請求する者
七 五十五条一項において準用する特許法百八十六条一項の規定により実用新案原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分に記録されている事項を記載した書類の交付を請求する者
2 別表の中欄に掲げる者は、それぞれ同表の下欄に掲げる金額の範囲内において政令で定める額の手数料を納付しなければならない。
3 前二項の規定は、これらの規定により手数料を納付すべき者が国であるときは、適用しない。
4 実用新案権又は実用新案登録を受ける権利が国と国以外の者との共有に係る場合であつて持分の定めがあるときは、国と国以外の者が自己の実用新案権又は実用新案登録を受ける権利について第一項又は第二項の規定により納付すべき手数料実用新案技術評価の請求の手数料以外の政令で定める手数料に限る。)は、これらの規定にかかわらず、これらの規定に規定する手数料の金額に国以外の者の持分の割合を乗じて得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。
5 実用新案権又は実用新案登録を受ける権利が国又は第八項の規定若しくは他の法令の規定による実用新案技術評価の請求の手数料の軽減若しくは免除(以下この項において「減免」という。)を受ける者を含む者の共有に係る場合であつて持分の定めがあるときは、これらの者が自己の実用新案権又は実用新案登録を受ける権利について第二項の規定により納付すべき実用新案技術評価の請求の手数料は、同項の規定にかかわらず、国以外の各共有者ごとに同項に規定する実用新案技術評価の請求の手数料の金額(減免を受ける者にあつては、その減免後の金額)にその持分の割合を乗じて得た額を合算して得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。
6 前二項の規定により算定した手数料の金額に十円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
7 第一項及び第二項の手数料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。
8 特許庁長官は、自己の実用新案登録出願に係る考案又は登録実用新案について実用新案技術評価の請求をする者がその実用新案登録出願に係る考案若しくは登録実用新案の考案者又はその相続人である場合において、貧困により第二項の規定により納付すべき実用新案技術評価の請求の手数料を納付する資力がないと認めるときは、政令で定めるところにより、その手数料を軽減し、又は免除することができる。

 

(手数料の返還)
 

第五十四条の二  実用新案技術評価の請求があつた後に十二条七項の規定によりその請求がされなかつたものとみなされたときは、その請求人前条第二項の規定により納付した実用新案技術評価の請求の手数料は、その者に返還する。
2 三十九条の二三項又は第五項に規定する期間同条第三項に規定する期間同条第四項において準用する特許法の規定により延長されたときは、その延長後の期間内に実用新案登録無効審判請求が取り下げられたときは、その請求人前条第二項の規定により納付した審判請求の手数料は、その者の請求により返還する。
3 前項の規定による手数料の返還は、実用新案登録無効審判請求が取り下げられた日から六月を経過した後は、請求することができない。
4 実用新案登録無効審判の参加人が三十九条五項の規定による通知を受けた日から三十日以内にその参加の申請を取り下げたときは、その参加人が前条第二項の規定により納付した参加の申請の手数料は、その者の請求により返還する。
5 特許法の規定は、前項に規定する期間に準用する。この場合において、同条中「特許庁長官」とあるのは、「審判長」と読み替えるものとする。
6 実用新案登録無効審判の参加人がその責めに帰することができない理由により第四項に規定する期間内にその参加の申請を取り下げることができない場合において、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその申請を取り下げたときは、同項の規定にかかわらず、その参加人が前条第二項の規定により納付した参加の申請の手数料は、その者の請求により返還する。
7 第四項及び前項の規定による手数料の返還は、参加の申請が取り下げられた日から六月を経過した後は、請求することができない。
8 実用新案登録無効審判の参加人がその参加の申請を取り下げていない場合において、第四項又は第六項に規定する期間第四項に規定する期間第五項において準用する特許法の規定により延長されたときは、その延長後の期間内に実用新案登録無効審判請求が取り下げられたときは、その参加人が前条第二項の規定により納付した参加の申請の手数料は、その者の請求により返還する。ただし、四十一において準用する同法百四十八条二項の規定により審判手続を続行したときは、この限りでない。
9 前項の規定による手数料の返還は、実用新案登録無効審判請求が取り下げられた日から一年を経過した後は、請求することができない。
10 過誤納の手数料は、納付した者の請求により返還する。
11 前項の規定による手数料の返還は、納付した日から一年を経過した後は、請求することができない。
12 第二項、第四項若しくは第六項、第八項又は第十項の規定による手数料の返還を請求する者がその責めに帰することができない理由により、第三項、第七項、第九項又は前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、これらの規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でこれらの規定に規定する期間の経過後六月以内にその請求をすることができる。

 

特許法の準用)
 

第五十五条  特許法百八十六(証明等の請求の規定は、実用新案登録に準用する。
2 特許法百八十九から百九十二まで(送達)の規定は、この法律の規定による送達に準用する。
3 特許法百九十四の規定は、手続に準用する。この場合において、同条第二項中「審査」とあるのは、「実用新案法十二条一項に規定する実用新案技術評価」と読み替えるものとする。
4 特許法百九十五条のの規定は、この法律又はこの法律に基づく命令の規定による処分に準用する。
5 特許法百九十五条の(行政不服審査法の規定による審査請求制限の規定は、この法律の規定による審決及び審判若しくは再審の請求書却下決定並びにこの法律の規定により不服を申し立てることができないこととされている処分又はこれらの不作為に準用する。

 

第九章 罰則

 

(侵害の罪)
 

第五十六条  実用新案権又は専用実施権を侵害した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 

(詐欺の行為の罪)
 

第五十七条  詐欺の行為により実用新案登録又は審決を受けた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

 

(虚偽表示の罪)
 

第五十八条  五十二の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

 

(偽証等の罪)
 

第五十九条  この法律の規定により宣誓した証人、鑑定人又は通訳人が特許庁又はその嘱託を受けた裁判所に対し虚偽の陳述、鑑定又は通訳をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処する。
2 前項の罪を犯した者が事件の判定の謄本が送達され、又は審決が確定する前に自白したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。

 

秘密を漏らした罪)
 

第六十条  特許庁の職員又はその職にあつた者がその職務に関して知得した実用新案登録出願中の考案に関する秘密を漏らし、又は盗用したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

秘密保持命令違反の罪)
 

第六十条の二  三十において準用する特許法百五条の四一項の規定による命令に違反した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
3 第一項の罪は、日本国外において同項の罪を犯した者にも適用する。

 

(両罰規定)
 

第六十一条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号で定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一 五十六又は前条第一項 三億円以下の罰金刑
二 五十七又は五十八 三千万円以下の罰金刑
2 前項の場合において、当該行為者に対してした前条第二項の告訴は、その法人又は人に対しても効力を生じ、その法人又は人に対してした告訴は、当該行為者に対しても効力を生ずるものとする。
3 第一項の規定により五十六又は前条第一項の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、これらの規定の罪についての時効の期間による。

 

(過料)
 

第六十二条  二十六において準用する特許法七十一条三項において、四十一において、又は四十五条一項において準用する同法百七十四条三項において、それぞれ準用する同法百五十一において準用する民事訴訟法二百七条一項の規定により宣誓した者が特許庁又はその嘱託を受けた裁判所に対し虚偽の陳述をしたときは、十万円以下の過料に処する。


  

第六十三条  この法律の規定により特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から呼出しを受けた者が、正当な理由がないのに出頭せず、又は宣誓、陳述、証言、鑑定若しくは通訳を拒んだときは、十万円以下の過料に処する。


  

第六十四条  証拠調又は証拠保全に関し、この法律の規定により特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から書類その他の物件の提出又は提示を命じられた者が正当な理由がないのにその命令に従わなかつたときは、十万円以下の過料に処する。